泌尿器科外来

一般泌尿器科外来

潜血尿・蛋白尿の精密検査
前立腺がん検診
尿路(腎臓、尿管、膀胱)がん検診
尿路結石症(腎結石、尿管結石、膀胱結石など)
尿路感染症(膀胱炎、腎盂腎炎、精巣上体炎、前立腺炎など)
性感染症(尿道炎、性器ヘルペス、梅毒、尖圭コンジローマなど)
排尿障害(前立腺肥大症、過活動膀胱、尿失禁など)

男性更年期(LOH症候群)外来

テストステロン補充療法(注射薬、外用薬)
漢方療法(補中益気湯、柴胡加竜骨牡蛎湯など)

ED(勃起障害)外来

シルデナフィル(バイアグラ)
バルデナフィル
タダラフィル(シアリス)

※当院ではPDE5阻害薬を用いた薬物療法のみを行っています。
その他の治療法をご希望の場合は性機能専門医を紹介しています。

泌尿器科

こんな症状を認めたら

01,尿の検査で異常を指摘された(潜血尿、蛋白尿)

健康診断、学校や会社の健診で潜血尿や蛋白尿を指摘された場合は、年齢に応じた精密検査が必要です。
無症状のものでも、糸球体疾患(糸球体腎炎や糖尿病や高血圧症など全身疾患に伴う腎糸球体障害)、尿路系疾患(感染症、結石、腫瘍)、腎血管系形態異常など、治療を必要とする疾患が発見される事もしばしばですので、必ず二次検診(精密検査)を受けるようにしてください。

02,超音波検査で尿路(腎臓、尿管、膀胱、前立腺)や副腎に異常があると言われた

腹部エコー検査や腹部CT検査で尿路(腎、尿管、膀胱、前立腺)や副腎に腫瘤などの異常を指摘された場合は早めの泌尿器科専門医の診察をお勧めします。
最近は、腹部エコー検査や腹部CT検査で偶然見つかる小さな腎腫瘍や副腎腫瘍が増加し、早期癌の割合が多くなり、予後も改善してきています。

03,前立腺癌検診で血清PSAが高いと言われた

血清PSAの測定は前立腺癌の早期発見に非常に有用です。
50歳を過ぎた男性は、一度は血清PSAを測定されることをお勧めします。
血清PSAが高いといわれたら、できるだけ早く泌尿器科専門医の診察を受けるようにしてください。

04,乳幼児健診で男性器の異常を指摘された

出生後の乳幼児健診で男性器の異常を指摘された場合は泌尿器科を受診されて下さい。
包茎や停留精巣などを認めた場合、その程度によっては早期の治療が必要です。

05,尿に血が混じる

目で見て尿中に血が混じっていることがわかる場合は肉眼的血尿、尿検査だけでわかるものを潜血尿または顕微鏡的血尿といいます。
尿路の腫瘍・結石・炎症・先天性形態異常・損傷,多臓器癌の尿路への浸潤、腎梗塞、糸球体腎炎、腎血管性疾患などで起こります。
肉眼的血尿が1回だけで消失しても、尿路悪性腫瘍の初発症状である可能性があるので必ず精密検査を受けるようにしてください。
特に無症候性の肉眼的血尿の場合は、尿路悪性腫瘍の存在を強く疑います。

06,尿が濁る

血尿を除いて、排尿後の尿が目で見て濁っている場合、混濁尿といいます。
塩類(りん酸塩)の析出によって起こる塩類尿には病的意義はありません。尿中に膿(白血球)が混入して混濁した膿尿の原因には尿路・男性器の感染(大腸菌、ブドウ球菌、淋菌、クラミジア、結核など)、または非感染性炎症(結石、腫瘍、放射線照射など)などがあります。尿中に細菌が混入・増殖した細菌尿の原因は尿路・男性器の感染で、膿尿が同時に存在することがほとんどです。
尿中にリンパ液が混入して白濁した乳び尿はフィラリア症などにより尿路とリンパ管との間に交通路が存在することにより起こります。
尿に便が混じる糞尿や空気が混入する気尿は尿路と消化管との間に交通路(膀胱直腸瘻、尿道腸瘻)が存在する可能性があります。
また、まれですが、気尿のみを認めた場合、ガス産生細菌の感染の疑いもあります。

07,尿が漏れる

不随意に尿を漏らすことを尿失禁といいます。膀胱内に尿が充満し、溢れ出るように少量ずつの尿が漏れる場合を溢流性尿失禁といい、前立腺肥大症や神経因性膀胱などで起こります。
排尿そのものは正常にできますが、尿意を感じると我慢できずに尿を漏らす場合を切迫性尿失禁といいます。
最近注目されている過活動膀胱の代表的な症状です。前立腺肥大症や神経因性膀胱(排尿をコントロールする神経の異常)、萎縮膀胱、膀胱の炎症や結石などが原因となります。
安静時には尿は漏れないのに、急に立ち上がったり、笑ったり、咳をするなど、急にお腹に力が加わった時に漏れる場合を腹圧性尿失禁といい、中年以降の女性で骨盤底筋群の脆弱化に伴うことが多いです。膀胱に尿が溜まらず、持続的に尿が漏れることを真性尿失禁といいます。尿意はなく、外傷や医療行為による尿道括約筋の損傷などが原因となります。
排尿習慣が確立する以前の幼小児が尿を漏らすことを遺尿症といいます。時に思春期頃までみられます。夜に限って起こるものを夜間遺尿症、昼間に漏らすものを昼間遺尿症といいます。いずれの場合も、排尿は正常にでき、自然の経過で尿漏れが消失することがほとんどですが、ときに内服治療などを必要とします。

08,尿が出にくい・尿が出ない

尿が出始めるまでに時間がかかる、尿線が細く勢いがない、力まないと尿が出ない、排尿の終わりになると尿がポタポタと落ちる、排尿に時間がかかるなどの症状を排尿障害といいます。
尿道の閉塞(前立腺肥大症、前立腺癌、前立腺炎、尿道狭窄、尿道結石、膀胱腫瘍、膀胱結石、膀胱内の凝血塊など)が原因となります。
膀胱内に尿が充満し、排尿できない状態を尿閉といいます。急激に尿閉になった場合、激しい尿意と強い下腹部痛を認めます。
徐々に尿閉状態になった場合は無症状のことがあります。

09,尿が近い・尿をすると痛い

正常の排尿回数は個人差がありますが、1日10回以上、睡眠時2回以上を頻尿といいます。
膀胱への器械的または炎症による刺激(急性膀胱炎、急性前立腺炎、膀胱結石、膀胱異物、尿管下端の結石、膀胱腫瘍、前立腺肥大症など)、残尿があるための膀胱有効容量の減少(前立腺肥大症,神経因性膀胱など)、膀胱容量の減少(間質性膀胱炎・膀胱結核などによる萎縮膀胱、妊娠子宮による膀胱圧迫など)、膀胱の神経障害、多尿(糖尿病、尿崩症、心不全など)、心因性などが頻尿の原因となります。
排尿中または排尿直後に尿道に感じる疼痛を排尿痛といいます。膀胱または尿道が炎症、結石、異物、腫瘍などで刺激されるために起こります。
頻尿・排尿痛などが同時に存在することを膀胱刺激症状といいます。頻尿・排尿痛で発症し、尿検査で膿尿があった場合、急性細菌性膀胱炎が疑われます。また、男性で、発熱と排尿痛を認めた場合は急性前立腺炎を排尿痛と尿道排膿があった場合は急性尿道炎を疑います。

10,尿道から膿が出る

性行為により伝染する可能性のある疾患を性感染症(STI: Sexually Transmitted Infections)と呼んでいます。
その中で代表的なものが淋疾とクラミジアですが、両者とも尿道炎の原因となり、尿道からの膿排出や排尿時痛を認めます。
最近ではマイコプラズマ尿道炎が増加傾向にあり、多様化・若年化する若者の性行動の影響もあり、蔓延化しているSTIには注意が必要です。
なかでも、キノロン系やマクロライド系抗菌薬などに対する薬剤耐性の増加やオーラルセックスを介する感染者の増加なども問題となっています。

11,おちんちんの先が赤く腫れて痛い

陰茎の先端部の皮膚(包皮)が炎症で赤く腫れた場合、亀頭包皮炎が考えられます。真性包茎のお子様の場合に起こしやすい傾向にあります。
真性包茎のため亀頭包皮炎を繰り返す場合は手術の適応となります。

12,横腹や背中が痛い

側腹部痛や腰背部痛は尿路の結石や血の塊が尿管に嵌頓したり、腎の炎症(腎盂腎炎や腎膿瘍)、腎内の出血(腎腫瘍、腎のう胞)、腎外傷などで生じることがあります。肉眼的血尿(赤いおしっこ)が出て、側腹部痛や腰背部痛を認めたら、尿管結石の可能性が高いです。痛みと同時に発熱がある時は急性腎盂腎炎などの腎感染症、外傷を契機にしていれば腎損傷の疑いがあります。
尿路疾患以外でも側腹部痛を生じる可能性があり、右側では胆石、虫垂炎、腸閉塞、左側では膵炎、腸閉塞などの疾患を鑑別する必要があります。

13,下腹が痛い

下腹部痛は膀胱の急激な過伸展、膀胱筋層内の炎症、膀胱の破裂などで生じることがあります。
突然の排尿困難があれば急性尿閉、膀胱充満時に増強し、排尿後に軽減するときは膀胱筋層の疾患(間質性膀胱炎、放射線性膀胱炎など)、下腹部を強打したり、骨盤骨折を契機にしていれば膀胱破裂の疑いがあります。

14,タマが痛い・タマが腫れた

陰のう痛は陰のう内臓器の炎症(急性精巣上体炎、急性精巣炎)、精巣内の浮腫・血腫(精巣外傷、精巣腫瘍など)、陰のう内臓器の阻血(精索捻転症)、精索静脈瘤などで生じることがあります。陰のう腫大は陰のう内臓器の炎症または腫瘤(急性精巣上体炎、精巣上体結核、精巣腫瘍など)、陰のう内への血液・リンパ液・漿液などの停滞または貯留(精索静脈瘤、陰のう水腫、精液瘤、陰のう浮腫など)、他臓器の陰のう内へのヘルニア(小腸,大腸,膀胱)などで生じます。20歳未満で急激な陰のう痛を生じた場合、精索捻転症の可能性が大きく、陰のう外傷を契機に生じたときは精巣破裂または陰のう内血腫の可能性が考えられます.発熱を伴う有痛性陰のう腫大は精巣上体炎の可能性が大きいです。
無痛性の陰のう腫大は陰のう水腫あるいは精巣腫瘍などを疑います。

男性更年期障害

01,LOH症候群(加齢性腺機能低下症:Late onset hypogonadism)とは?

更年期障害は女性特有の病気と思われがちですが、男性にも更年期障害は起こります。加齢に伴い男性ホルモンであるテストステロンが減少することにより引き起こされる症候をLOH症候群と呼び、男性版の更年期障害にあたると考えられています。
女性と異なり、男性では閉経を認めないことや、症状の個人差が大きいことなどが診断を難しくしています。
LOH症候群の症状はテストステロン減少からくる生理的な症状と、ストレスなどによる心身症的反応による症状があります。
生理的症状としては精力減退、勃起障害やほてり、心身症的症状としては気力の低下、不安、不眠、焦燥感、全身倦怠感などがあります。
LOH症候群は、性機能低下、うつ、認知機能の低下、骨粗鬆症、心血管疾患、内臓脂肪の増加、インスリン抵抗性の悪化、HDL(善玉コレステロール)の低下、中性脂肪値とLDL(悪玉コレステロール)の上昇に寄与し、メタボリック症候群のリスクファクターになります。
また、LOH症候群には大うつ病の患者が含まれることが多いとされています。テストステロンが低いと、活力と性機能が損なわれ、QOLに大きな影響を与えることとなります。

02,LOH症候群の診断は?

生物学的活性のある血中遊離テストステロンは思春期に上昇し、20歳前後でピークに達した後、徐々に下降しますが、その程度は個人差が大きく、閉経期後に性ホルモンが一様に低下する女性とはタイプが異なります。
これまでは日本泌尿器科学会、日本Men’s Health医学会が作成した「LOH症候群診療の手引き」(以下「手引き」)において血中遊離テストステロン値8.5pg/mLがLOH症候群に対して治療介入を行う基準値とされていましたが、2022年度の改定により血中総テストステロン値の閾値は250ng/dL、血中遊離テストステロン値の閾値は7.5pg/mLに変更されました。また、治療方針の決定に関しては血中テストステロンの測定値に関わらず臨床症状と併せて総合的に判断することが重要であると記載されています。症状の評価としてはAging Male Symptom (AMS) score が良く用いられています。AMSは精神、心理、身体、性機能に関する17項目を自分自身で評価する症状スコアです。
17項目について5段階評価を総計し、合計26点以下は正常、27-36点は軽症、37-49点は中等症、50点以上は重症としています。

03,LOH症候群の治療は?

男性ホルモンを投与するテストステロン補充療法(TRT)が一般的ですが、副作用や問題点もあり、その適応は慎重に判断すべきです。
TRTの方法としては、経口薬、注射薬、皮膚吸収薬がありますが、わが国では注射薬エナント酸テストステロンのみが保険適用となっています。
通常2-4週間おきに125mg~250mgを筋注することで臨床効果が得られますが、デポ剤の性質を考えると2週ごとに125 mgを投与していくほうがより生理的に近いと考えられます。また、皮膚吸収剤であるゲル剤は、注射剤よりも生理的であり、欧米ではゲル剤の使用が徐々に増えていますが、我が国では保険適用外です。 TRTにより筋肉量、筋力、骨密度、脂質代謝、インスリン感受性、うつ症状、性欲、体調の改善が認められます.勃起不全についてはPDE5阻害薬の作用を増強します。
TRTの副作用には、多血症、睡眠時無呼吸症候群の悪化、女性化乳房、ニキビなどがあげられます。また、TRTにより造精機能(精子を作る能力)が悪くなる事がありますので、挙児を希望されている方には注意が必要です。副作用を防ぐために、TRTを受けている間は、定期的な検査が必要となります。
TRTにより前立腺癌が生じることはほぼ完全に否定されつつあります。TRTの臨床試験のメタアナリシスにおいては、プラセボ群とホルモン補充群で前立腺癌が発見される有害事象の頻度は変わりません。これまでの検討をふまえ、治療前に前立腺癌がない事を必ずスクリーニングして、定期的に直腸診とPSAを測定することで前立腺癌の合併を見逃さない努力がなされています。
そのような前提の上では、TRTは安全に施行可能と考えられています。このため「手引き」ではPSAを測定し、2.0 ng/mL以上であれば前立腺癌の除外のため、精密検査を受けていただくようお勧めしています。
症状によっては漢方薬、抗不安薬、PDE5阻害薬などを使用することあります。生活習慣の改善も重要で、飲酒量の制限、禁煙、運動などもLOH症候群を改善するのに有効です。

ED(勃起障害: Erectile Dysfunction)

01,EDとは?

満足のいく性行為に十分な勃起を達成できない、もしくは維持できない状態をEDといいます。
以前用いられてきたインポテンツ(impotence)という言葉は使われなくなりました。
EDは機能性(心因性など)、器質性(血管性、神経性および内分泌性など)、混合性に分類されます。機能性EDの原因として、不安、ストレス、うつ病、アルコール中毒症、性的トラウマ、パートナーの性的問題などが挙げられます。
器質性EDでは、糖尿病などの慢性疾患、骨盤内手術や外傷などによる局所の構造学的異常、薬物、喫煙、加齢などが関与しています。
また、EDの原因となる薬物にはホルモン剤、抗男性ホルモン薬、H2拮抗薬、抗うつ薬などがあります。

02,EDの診断は?

アンケート表などを利用して、性機能障害を中心とした問診を行い、病歴、診察、臨床検査の結果から総合的に診断します。
臨床検査では腎機能障害や糖尿病、高脂血症の有無をチェックし、性欲低下が疑われる場合には血中テストステロンやプロラクチンも測定します。

03,EDの治療法は?

薬物療法、非観血的治療、侵襲的治療があります。
薬物療法では、古くから様々な血管拡張薬が使用されてきましたが、満足の出来る結果とはいえませんでした。
しかし、PDE5阻害薬であるバイアグラ(シルデナフィル)の登場により、EDの治療は劇的に変化しました。
現在では、3種類のPDE5阻害薬(シルデナフィル、バルデナフィル、タダラフィル)のいずれかがED治療の第一選択となり、約70%の症例はこれらの内服で改善します。しかし、高度の腎機能障害または肝機能障害をもつ患者さんや高齢者に対するPDE5阻害薬の投与には十分な配慮が必要であり、心疾患があり亜硝酸系製剤を内服している患者さんへの投与は禁忌とされています。また、最近6カ月以内に、脳梗塞、脳出血や心筋梗塞の既往がある患者に対する投与も禁忌とされています。
非観血的治療では、まず最初に、禁煙・禁酒などの生活習慣改善を指導し、EDを引き起こす可能性のある薬を止めていただきます(この場合には主治医の同意が必要です)。また、専門家によるカウンセリングや心理療法を含めた治療も必要なケースもあります.陰圧式勃起補助具は、ほとんどのED症例で効果があり、合併症や禁忌が少なく、長期使用にも適しています。しかし、装着時の違和感、射精感喪失のため性行為の満足度が低下したり、虚血の危険性から30分以上の連続使用ができないという欠点もあります。
侵襲的治療としては、血管作動薬を陰茎海綿体内に直接注射する海綿体注入療法があります。
有効率も比較的高く、速効性もありますが、海綿体組織の線維化や持続勃起症などの合併症を起こす危険があります。
血管性EDに対しては、手術療法も行われていますが、必ずしも満足できる結果とは言えないのが現状です。
これらの治療法を施行しても良好な結果が得られない症例に対しては、陰茎海綿体内への陰茎プロステーシス埋込手術が選択される場合があります。しかし、プロステーシスの挿入は、海綿体を破壊し、他の治療法への変更が出来ないため、その適応は慎重に判断すべきです。

男性不妊症